上絵具とは
1.上絵具とは
(1)上絵具の性状について
　　上絵具は釉薬上に彩色して、通常700〜800℃で焼成して焼き付ける、色素と融剤の結合物
　からなる一種の低火度の釉と考える事が出来ると思いますが、上絵具と釉薬は同一物ではない
　ので溶融した絵具が焼成後剥離する事もあります。
　　この対策としては絵具の種類、焼成条件等の面からだけではなく素地や釉薬との相性等も含
　めて、素地、釉薬、絵具、焼成の全てがそろう事が大切です充分に試験をして使用して下さい。

(2)上絵具に求められる要件
　　上絵具には次のような要件が求められます。
　�@色　�A艶（光沢）　�B釉薬との適合性　�C低温度の焼成　�D筆はなれ　�E安全性

2.上絵具の種類
(1)上絵具（従来型）・・・絵具の筆下り、はなれ、光沢も良く、非常に使い勝手の良い絵具です
　　　　　　　　　　　　　が鉛化合物を含んでいます。食器や唇が直接触れる所には使用しない
　　　　　　　　　　　　　で下さい。
　　　　　　　　　　　　　焼成温度は、700〜750℃です。
　　　
(2)耐酸上絵具・・・・・・鉛化合物を含んでいますが、完全溶融焼成後の耐酸性が高く鉛の溶出
　　　　　　　　　　　　　が少なく食品衛生法溶出基準をクリヤー出来る絵具です。安心して、
　　　　　　　　　　　　　食器に使用出来ます。
　　　　　　　　　　　　　焼成温度は、750〜800℃です。
　　　
(3)無鉛上絵具・・・・・・鉛化合物を含んでいません。但し、筆下りが悪い事と焼成温度が従来
　　　　　　　　　　　　　の上絵具より高いので、注意して下さい。
　　　　　　　　　　　　　焼成温度は、820〜900℃です。

3.上絵具の溶き方
(1)水溶き
　�@上絵具は乾燥粉末状です。まず、上絵具を乳鉢でよくほぐし、にかわ液（50倍水溶液）・アラ
　　ビヤ糊水溶液（濃度１％）を少しずつ加えながらペースト状に練り、再度、水溶液を少しずつ
　　加えながら描き易い状態まで摺り上げて下さい。
　　釉薬面のはじきがひどい場合は、にかわ液・アラビヤ糊水溶液を布等に含ませ軽く、絵付する
　　面を拭き、乾燥後絵付けを行って下さい。
　　　　
　�A乾燥粉末上絵具を乳鉢でよくほぐし、にかわ液（２0倍水溶液）、水溶性メジウムを少しずつ
　　加えながら団子状に、そしてペースト状に練り、次に水を少しずつ加えながら描き易い状態ま
　　で摺り上げて下さい。
　　　　
　�B乾燥粉末上絵具とアラビヤガム粉末（絵具重量の0.5〜1％）を乳鉢でよく混ぜ、水を少しずつ
　　加えながらペースト状に練り、再度、水を加えながら描き易い状態まで摺り上げて下さい。

(2)油溶き
　　油溶きの場合には、にかわ等の水溶性の糊の代わりに、油性の白ワニス、コパイババルサム油
　　等で練り、テルピン油等を加えながら描き易い状態まで摺り上げて下さい。
　　使用後の道具、筆等は当然水で洗浄する事は出来ませんので、テルピン油等の油で後始末をす
　　ることを忘れないでください。

※上絵具は各々特有の溶融温度がありますが、フラッキスを少量混和することにより、火度の調整
　が出来ます。

上絵具（従来型）

本金赤	九谷赤	No.22　洋　赤	No.24トーヨー赤	No.60　ベリー赤
No.1　赤	黄オレンジ	No.195　緋　赤	No.11　淡　黄	No.13　濃　黄
黄クリーム	No.1　金　茶	No.21　代　赭	No.16　黒　茶	No.32　小豆茶
チョコレート	No.80　黒煤竹	No.83　赤煤竹	No.11５　鴬色	No.116　鴬色
No.117　鴬色	No.50　ヒ　ワ	No.14　草　青	No.9　緑　青	No.40　緑　青
No.64　グリン色	No.94　グリン色	No.114　闇青色	No.126　淡水色	No.128　青水色
No.25　海　碧	No.10　紺　青	No.20　濃紺青	No.138 ピーコック	No.15　ル　リ
代用円子	代用マロン	No.1　ライラック	No.A　 鮭　色	ぶどう色
No.560　グ　レー	No.315　淡　鼠	No.30　銀　鼠	No.Ａ　艶　黒	No.100 　白　盛
艶消黒

耐酸上絵具

��1003　濃　赤	PR22　洋　赤	��24Aトーヨー赤	��1011　淡　黄	��1013　濃　黄
PR32　小豆茶	SP　赤　茶	��1016　黒　茶	��1050　ヒ　ワ	��1014　草　青
��1009　緑　青	��1116　鴬色	��1117　鴬色	��1126　水　色	��1025　海　碧
��1010　紺　青	PR102　グレー	��1030　銀　鼠	��1105　 艶　黒	��201　雲母銀
��101　雲母金	耐酸　正円子	耐酸　花マロン	耐酸　ライラック	耐酸��150セレン赤
耐酸　ライトレッド	耐酸　セレン赤	耐酸　オレンジ	��201　白　盛	耐酸　艶消黒

無鉛上絵具

��101　白　盛	��101　ヒ　ワ	��301　草　青	��201.　緑　青	��201　海　碧
��101　淡　黄	��301　濃　黄	��101　艶　黒	��301　黒　茶	��201　赤
��101　赤	��101 ピンク	��501 ライラック	��601　雲母銀	��502　雲母金

和絵具
　　　光沢の良い透明性の鮮やかな色彩は和絵具独特のものです。
　　用途により、従来型・耐酸・無鉛の和絵具を使い分けてください。
　　　通常はふのり液で調整し、骨書きには犬山黒等をにかわをきさせて使用します。
　　しかし、常乾の骨書きの上に和絵具をのせる際に乾燥定着している骨書きがにじんだり
　　動くことがありますので注意が必要です。
　　　上絵付けの二度焼きが可能な環境条件なら、一度、艶消黒で骨書きを行い焼成し、
　　その後で和絵具で彩色し定着させるための二度目の焼成を行なう方法もあります。
　　但し、上絵具を重ねることとなりますから、焼成温度の設定をよく考える必要があります。

和　紺・濃和青盛 和　紫・和　黄	P　濃和青盛 濃和青盛

耐酸　和青盛	耐酸　和　黄	耐酸　和　紺	耐酸　和　紫
無鉛　和絵具 和青盛・和　黄 和　紺・和円子 和　紫	無鉛　和絵具 和青盛 和　紺・和　黄 和　紫・和円子

盛絵具
　　　盛絵具はふのり液で練り、凸状に盛って描きます。　
　　昔は、渋紙とイッチンを用いていましたが良い渋紙がなくなりましたので
　　マヨネーズ等の容器を加工し利用しています。　

のり・油脂・溶剤